屋根の上のタンクの秘密

2005年11月29日

更新がだいぶ遅れてしまってすいません。

心を入れ替えて、今後はもうちょっと頻繁に更新していこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

さて、先日だいぶ遅い(そして短い)夏休みを取って沖縄に行ってまいりました。

市街を移動していてふと目に留まったのが、家の屋根についているタンク。街の中心部ではそれほど多くはないものの、少し郊外に出ると建物の屋根に一つずつタンクが取り付けられています。

沖縄に行ったことがある皆さんの中に、一見奇妙にも見えるタンクに気が付いた方も多いのではないでしょうか。

屋根の上のタンクの写真
実はあれ、給水タンクなのです。(余談ですが、最近の沖縄の給水タンクは特にステンレス製が多くなってきているそうで、大きな存在感を示しているようです。)

沖縄は昔から水不足に悩まされていて、古くは天水槽と呼ばれる雨水を濾過して再利用する装置を多くの家庭に備えていました。

沖縄で水不足?

台風のイメージが強いせいか、沖縄に水不足というイメージはあまり無いかと思います。確かに沖縄県の年間降水量は日本の平均を上回っていて、関東地方の約1.4倍の雨が降ります。

雨が多いのに水不足になるのはなぜ?

その答えは、その風土と人口密度にあります。

沖縄では雨の大半が梅雨と台風によってもたらされます。けれども、サンゴ礁の台地であるその土壌は保水力が低く、まとまって降った雨を効率よく蓄えておくことができません。さらに、沖縄には勾配が急で距離の短い川しか無いため、雨をすぐに海に流してしまいます。

高い人口密度も水不足の原因の一つです。
沖縄県の人口密度は490人で全国第9位。ただし、この数字は離島も含んでのものですから、本島に限ればもっと密度は高いのではないでしょうか。

降った雨を海に流してしまう土壌と、水を必要とする人間の多さ。これが沖縄の水不足の理由なのです。

今ではダムや治水の開発が進み、水不足も比較的落ち着いてきましたが、今から約10年ほど前までは断水や給水制限が毎年行なわれていて、昭和56年から昭和57年にかけての大渇水ではなんと326日間も給水制限が続きました。
(平成6年以来給水制限は行なわれていません。)

ダム開発が進んだ結果、近年は大きな給水制限は行なわれていないものの、水不足になりやすい環境であることには変わりなく、人々は自衛の手段として各家庭に給水タンクを備え付けているのです。最近では現代版天水槽とも言える雨水タンクを設置して、飲料水以外の水を雨水から利用している家庭も増えているようです。

年末年始のご旅行に暖かい沖縄を予定されている皆さんも多いかと思います。
沖縄に行った際は、屋根の上を見上げてみてください。

そして、(特に離島では)水を大切に!


●参考サイト
国土交通省HP

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