下水道と浄化槽 1

2009年10月29日

今年は大きな台風がいくつか上陸しました。
大きな台風が上陸すると河川の氾濫を報道などでよくみかけます。

大雨が降った時都心部では我々が使用した生活雑排水等はどのように処理されているかご存知ですか?

下水道には、『合流式』と『分流式』というものがあります。

『合流式』とは汚水と雨水を同じ配管で集め、浄化処理し放流するものです。

『分流式』とは汚水と雨水を別の配管で集め、雨水はそのまま汚水は浄化処理し放流するものです。

合流式下水道は配管1本の敷設ですむため、工事が安価で容易であるという利点がありますが、大雨のときには下水道で処理しきれない分を一部河川に流さなければならず、水質汚濁を起こすという欠点もあります。
分流式下水道はその逆で、工事に費用はかかりますが河川を汚すことはほとんどありません。

当初大都市部では、昭和30年代頃まで浸水の防除と下水道の普及促進が最大のテーマでありそのために汚水と雨水を同時に収集できる合流式下水道が積極的に整備されてきました。

川風景写真.JPGしかしその後、昭和45年に水質汚濁防止法等、公害関係の法整備が進み環境汚染に対する規制が国家政策的に強化されました。

その結果、公共用水域の環境基準を達成する必要性から、未処理下水の河川等への 直接流入を防ぐことが重要となり、分流式下水道の整備が進められることとなりました。
しかし現在建設に時間もお金もかかる下水道に比べて、安く、手軽に設置できる浄化槽の設置を進めている自治体が増えています。

浄化槽は各家庭単位で汚水をきれいな水に戻してから河川へ流す事が可能です。

下水道敷設に時間と費用がかかることを考えると浄化槽の担う役割は決して小さなものではありません。特に農村や山間部、水源地域などでは水質汚染は食料、地下水などに影響を及ぼし深刻な問題になります。

完全に下水道が整備されていない今、浄化槽に対する意識を改める必要があると思います。

次回は浄化槽のすぐれた点について調べてみようと思います。


※水質汚濁防止法・・・工場および事業場から公共用水域への水の排出を規制し汚濁防止を図ることを主たる目的とする法律。

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